オキシトシンの裏の顔
『愛情ホルモン』『絆ホルモン』とも言われている【オキシトシン】
また、抗ストレス作用を持つホルモンでもあり、ストレスの影響から心血管系を守るということも分かっています。
オキシトシンの受容体が心臓にあり、ストレスによる損傷を心臓が癒せるよう心細胞の再生を助ける働きをするのです。
つまりオキシトシンとは、天然の抗炎症薬なんです。
ですが、本当にいいことばっかりなんでしょうか?
・外部からの摂取は・・?
また、その他にも
- 人に対して温かい気持ちになれる
- 多幸感に包まれる
- 癒しの機会が増え、ストレスが緩和する
- 不安や恐怖心が緩和する
- 周りの人への信頼感・絆が増す
- 自己肯定ができるようになり、自信に繋がる
- 好奇心が強まり、人との交友関係が広がる
- 学習意欲と記憶力向上
- 感染症予防につながる
- 痛みの緩和
- 自律神経を整え情緒を安定させる
などなど。
これだけいい仕事をしてくれるのなら【オキシトシン】を自ら造るだけでなく、外部から大量に摂取したい!って、ちょっと思いませんか?
実際に、鼻から吸引するタイプの【オキシトシンスプレー】というものが市場に出回っています。
ですが・・・
人間の体の生理的な機能として、
『足りないものを生成しよう』『必要十分だったら生成をやめよう』
というものがあります。
ですので、外部からオキシトシンを大量に摂取した場合、受容体が変化してしまったり、”必要十分だから造るのや~めた”となる可能性が高いのです。
例えば、ボディービルディングの世界では、違法な筋肉増強剤(ステロイド)を使用して外部から『男性ホルモン』を大量に摂取する選手も中にはいますが、あまりに過剰に投与しすぎると
【睾丸委縮】や【女性化乳房】という症状がでてきます(男性の例)
これは、体が
『男性ホルモン造るのや~めた』
となっているという事です。
(大量の男性ホルモンが女性ホルモンに代謝される”芳香化”というのもありますが・・・)
オキシトシンもホルモンですから、同じ事が起きてしまう可能性は十分考えられます。
実際にオキシトシンスプレーは【自閉症】の症状を軽減するために造られたもので、ごく普通の人が使用するのは”危険”ともいわれています。
・他者を信用し過ぎてしまう?
オキシトシンと投資ゲームを組み合わせた実験では、
『オキシトシンを投与された被験者の方が、プラシーボを投与された被験者よりも、他人を信頼して自分の資金を任せようとする傾向が強くなった』
という実験結果が残されています。
オキシトシンによって、”不安に思う気持ち”や、それによる”ストレス”が軽減されているという証拠ですよね!
詐欺師の方は、悪用厳禁ですよ!
・排他的になってしまう?
「暴走列車から5人の命を救うために1人を犠牲にすることは許されるか」
などといった道徳的ジレンマの解決を求められた場合、オキシトシンを嗅いだオランダ人男性は、嗅いでいない被験者の場合と比較して、自国民のほうをアラブ人やドイツ人よりも優先して助けることが多かった、という実験結果があります。
これはオキシトシンによる【母のホルモン】としての一面だとも言えますよね。
出産直後の母親は”自分と子供”との繋がりを一番に感じるようになるものです。
(その為、夫である我々はその時期はちょっとだけ阻害されてしまう・・^^)
【絆ホルモン】といわれる裏側には、こういう”自分と関わりの深いものに対して優先的になる”という作用があるんですね!
以上、オキシトシンの裏側でした。
何にでも良い面と悪い面といいますか、作用と副作用みたいなものってありますよね!また、
”過ぎたるは及ばざるが如し”
ともいいますが、いい物でも”過剰に” ”大量に”とやってしまうと、毒になってしまう場合も・・。
コミュニケーションやスキンシップなどのふれ合いで分泌できるのなら、それが自然で一番!という事ではないでしょうか。
執筆:Feel careおっぱいマイスター®協会理事 石井 将之
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